牛の飼育方法はさまざまありますが、久慈地方の酪農では、牛さんたちにやさしく声をかけながら、まるで自分の子どもを育てるかのようにエサを厳選して与えて、排泄物を片づけ、ゆっくりと安らげるベッドを用意します。
 久慈地方の牛さんたちはいつもゆったりとリラックスして暮らしています。きっと、それは酪農家さんが一頭一頭に目を配って手をかけてあげられていることですっかり安心しているから。
 太平洋に面していることもあり、夏は「ヤマセ(偏東風)」による影響で冷涼な気候で冬は比較的温暖です。人も動物もとても暮らしやすい自然環境は、暑さに弱い牛さんにとってはとても心地よく感じるのかもしれません。
 そのような風土の中で育った牧草や飼料用とうもろこし、そして大地の恵の澄んだ水で育った牛さんたちから搾った生乳が今日も届いています。

久慈地方の酪農

生乳の品質は岩手県内トップレベル

 久慈地方の生乳の品質は岩手県内でもトップレベルです。畑の土壌改良から飼料の与え方、牛舎内の環境づくりまで専門家の指導を受けながら品質や衛生面の向上に徹底して取り組んでいます。 だから突然に牧場を訪ねてもいつも美しく、牛さんたちがとても気持ち良さそうにしていて、のんびりとした表情でわたちたちを迎えてくれます。  
 「よしよし」とやさしく牛さんに声をかけながら搾乳する酪農家さんにお話を聞いてみると、「子どもたちの笑顔や感動する様子が一番の励みになるんです。将来の夢は、この牧場を体験牧場にすることですね」と自信を持っていいます。
 酪農家さんの、まるで自分の子どものお世話をするかのように楽しみながらお仕事をしている姿や、牧草の心地良い香りに人も癒されます。

先人たちが築いた『酪農の里』

 洋野町は久慈管内で最も生乳を出荷する酪農家と飼育する乳牛の数が最も多い「酪農の里」でもあります。
 広大な土地を活かした冷害に強い農業として、戦後間もなく導入された酪農。現在は36戸にとどまっていますが、最盛期の昭和40年代には町内に250戸を超える酪農家がありました。
 これまでの長い歴史の中で、先人たちは質の高い生乳をより多く生産するため、牛の改良に取り組んできました。その想いから、酪農家による「陸中ホルスタイン改良同志会」が発足。共進会の開催や先進地の視察などにより地域全体のレベルアップを図ってきました。

2007年に県内初のHACCP認証

 間澤牧場さんは2007年に県内初となるHACCP認証畜産農場となりました。牛舎内の衛生管理と、牛乳の品質にこだわる間澤さんの取り組みが認められ、今でも変わらず高い品質の生乳を生産しています。

2023年の東日本デイリーショーで最高賞を受賞

 2023年11月に開催されました東北地方で育成された乳牛の成長を競う「2023東日本デイリーショー(東北地区ホルスタイン改良協議会主催)」では、当社に毎日生乳をおさめてくださっている酪農家さんの中から4つの部門でチャンピオンが生まれました。さらに、全ての部門の最高賞にあたるグランドチャンピオンにも町内の酪農家さんが選ばれる歴史的快挙が達成されました。

酪農家さんとの関係

牧場と工場の距離が近い

 工房から約1時間以内の距離にある久慈地方36戸の酪農家から生乳を毎日安定して供給していただいています。最も新鮮な状態で加工できるから、全ての商品で生乳本来の風味を味わうことができます。
 年1回開催されるバーベキューや環境整備では親交を深め、今でも創業時から変わらず顔の見える関係を大切にしています。

酪農家さんの想い

お鍋でコトコト沸かしたような自然なおいしさをお届けしたい

 「自分たちが飲んでいる、搾りたての生乳をお鍋でコトコト沸かしたような自然なおいしさをお届けしたい。」
 酪農家さんの家では、搾りたての生乳をとろ火でゆっくりと加熱するそうです。時間も温度もまちまちですが、どのお宅でも気をつけているのは「沸騰させないこと」。丁寧に時間をかけてゆっくりと熱を加えることで、生乳本来の味をそのままに仕上げることができるといいます。

こだわりの殺菌温度

目指したのは”酪農家がいつも飲んでいる自然なおいしさ”

 一般販売されている牛乳の9割以上が「超高温瞬間殺菌(UHT)」と呼ばれる120~130℃で2秒間殺菌する方法が主流ですが、超高温で殺菌することで牛乳には加熱臭(こげ臭)が発生します。 生乳本来の風味が損なわれますが、この味わいを「コク」と感じる人もいます。
 このように、牛乳は殺菌方法によって味わいが大きく変化しますが、当社では生乳本来の風味をできるだけ活かすために、『85℃20分間』ゆっくりと時間をかけてやさしく殺菌処理をおこなっています。

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